今週のお題「読書の秋」
映画化されるということで話題になっている、東野圭吾の「ナミヤ雑貨店の奇蹟」を読んだ感想を少し語らせてください。ネタバレはないです。
映画は9月23日(土)に公開ですが、
映画化というより、山下達郎がこの原作で登場する「再生」という曲を、映画で「REBORN」として具現化したというニュースが気になって原作を手に取りました。
この曲と相まって、泣けます。これは間違いない。
もしまだ小説を読んでない人がいるのなら、ぜひ今のタイミングで読んでほしいです。
きっとその後映画を見に行きたくなるから。
発売は2012年のベストセラー小説ですから、
今更かよって感じかもしれませんが、
このタイミングでこの作品に出合ったのが「奇蹟」だと思えるほど、今の自分に必要な小説でした。
物語は何人かの相談者と回答者の手紙のやりとりを中心に進んでいきます。
手紙というものには、文中には書かれていない想いがあります。
回答者が、文面からそれを必死に読み解こうとする姿が、いろんなことを「考えたい」今の自分に刺さりました。
悩みに答える方も、
その答えを受けとる方も、
その便箋の外にある、文字にならない声に耳を澄まし、頭を悩まし、また手紙を書く。
そんなやりとりの中で、自分の中にある、自分でも気付いていない想いを見つけることができれば、悩みは悩みでなくなる。
”大事なことは、本人の心がけだ”
ナミヤ雑貨店店主はそう、口にする。
物語を読み進めていくと、時折考えてしまうことが出てきます。
「自分だったらそれだけのことができるのだろうか?」という思い。
僕の考えでは、悩みというものは口から出してしまえば半分は解決すると思っています。
自分の心の中にあるうちはどんどん大きく膨らんでしまうような不安でも
人に相談するために言葉にしてみると、
「なんだこんなことで悩んでいたのか」と、
自分で可笑しくなってしまうこともよくありました。
それでも解決できないような悩み、、、自分自身でも気が付いていない、言葉にできない悩みに自分は答えられるのだろうか、、、
物語は全5章で構成されていて、それぞれ独立した「点」のお話しですが、それらがどんどん繋がっていくことで、「線」になっていく面白さに、どんどん惹き込まれていきました。
最後に「白紙の便箋」という、一見答えようのない手紙に対する、ナミヤ雑貨店店主の回答を読めば、最高に清々しい気分になれるでしょう。
自分の内側から出てきた言葉を書き綴ることで、自分自身と、まだ見ぬ誰かの力になれる。
そんな大それたことも信じてみたくなるような、素敵な作品に出会えたことに感謝し、これからも発信を続けていきたいと思います。
- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
- 発売日: 2014/11/22
- メディア: 文庫
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